チュム『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』★

(この記事はいずれ2017年10月1日 @ 18:00に移動します)

9月29日(金)から10月1日(日)、甲府南高校演劇部の卒業生による演劇ユニット・チュムの旗揚げ公演がありました。会場は「こった創作空間」(旧サニーサイドシアター)。演目は『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』と『秘密の花園』、作はいずれも甲府南高校の中村勉先生。

『マナちゃん』は全国大会、『秘密の花園』は関東大会と高校演劇サミットなどで上演された演目ということもあり、以前の様子を知っている方が多いような雰囲気で皆さん、作品についても役者さんについても感慨のある様子。そんな中、中村作品を見始めて日の浅い僕はそういった感慨は全くないので、たぶん受けている印象は少し違うのかなと思いました。

ということで、3回観ました『マナちゃんの真夜中の約束・イン・ブルー』の感想を少し。

二間ちょっとの正方形に近い舞台の真ん中にベッド。照明は青をベースに、生かA系?のライトがベッドを照らす。もっとLEDかなと思っていたら、LEDのパーが2台とムービングが2台、それ以外はDFとかCSQとかPERとかT1とかで、比較的シンプルな仕込み。地の青はDFにゼラを入れて作っていたので、これがベースだろうけれどLEDのPERが2灯あれば何色にも出来そうだなぁとか、前明かりのPERの明かりは白いのかなぁとか色々と観察。

さて、開演。感想は何というか、『とても良かった』・・・で終わりにしたい気もする(‥;)

でも、言葉にするのは難しいのだけれど一応、忘れないように良かったと思ったところを書き残しておこうと思います。

まず、脚本。僕はオリジナル版は観ていなくて、脚本しか読んでいないので他の方と印象が違うかも知れませんが、僕は4人版となった今回の脚本の方が好きでした。以前、脚本を読ませて頂いた時、この本は面白い本だけれど、上演してみたいとは思わなかったのですが、今回の4人版はとても魅力的でした。

まずは歌の力。これは冒頭の『星めぐりの歌』と終盤の『遠き山に日は落ちて』の2番の歌唱がかなり効いていたんじゃないかなぁと思います。僕だけだろうか、特に『新世界より』が登場するとそれだけで銀河鉄道が思い浮かぶ。もちろん、これはクボタさんという役者さんありきでの変更だったのかもしれませんが、この歌がとても良く、銀河鉄道感が一気に隅々にまで広がったような気がします。

また、4人になってしまったのか、4人にしたのかの事情は分かりませんが、カンパネルラ担当の役が無くなったことで作品の雰囲気は大きく変わったのではないかと思います。カンパネルラは原作の登場人物だし、キャラクターとして存在感があるので、以前の脚本だとカンパネルラの存在感が最後に向けて大きくなっていたような気がしていたのですが、全員がカンパネルラを担当することで銀河鉄道の抽象度が高まって、マナちゃん感が増したような。それでいて、歌が加わったことで世界観は強まったような。なんか上手く表現はできないのですが、もし何かのタイミングで『マナちゃんの・・・』をさせて頂く機会があれば、きっと4人版をお願いするんじゃないかなぁと思ったぐらい、素敵な脚本でした。

上演についても、とにかく役者さんたちが魅力的。今回は小劇場ということで舞台と客席が近いこともあり、何より『視線』の素晴らしさを痛感しました。中村先生の作品の特徴の1つである1人の役者さんが幾つかの役を演じ分ける作業が見事で、役が変わる度に目の表情が刻々と変化していく。こういう視線を観られると『観に来て良かったなぁ』と思います。那須さんのジッと一点を見つめて科白を繰り出す表情も、廣瀬さんの豊かな表情と表現も、クボタさんの細やかな表情の変化も、折舘さんの表現の幅と大胆さも、どの部分を切り抜いても魅力的で、3回観ましたが、多分まだまだ何か素晴らしい部分を見逃しているような気がしています。

少し脱線すると那須さんと廣瀬さんは甲府南、クボタさんは甲府昭和ということで、いずれも中村先生のところの卒業生なのだそうで、折舘さんは青森中央高校の卒業生だそうな。考えてみたら今回、初めて青森中央関係者のお芝居に遭遇したのかも。もちろん、卒業後も続けるレベルの方だから、その中でも抜きん出た方なのだろうけど、折舘さんのキャラクターの造形は素晴らしいを通り越していました。

まぁ、結局のところ、とにかく楽しかった(๑˃̵ᴗ˂̵)、と言うほかない!

今回は3回目に部員をこぞって連れて行ったのですが、彼らが1番驚いたのはやっぱり『話し方』だったよう。サラサラを繰り出す科白運びは聞いていて心地よくて、滑舌良く大声で話されるより、物語がスッと入ってくるのだと思います。この『呼吸するようにかのように言葉を紡ぐ感じ』を何とか身につけてほしいと思うけど・・・頑張ってください。

もう1つはやっぱり視線が気になった様子。稽古を観ている時に役者が視線を動かすときにバッチリ目が合って、慌てて視線を逸らされるとガッカリします。それは集中度の表れでもあると思うし、役として存在しているときに、存在している空間がどのように把握できているかとかにも通じると思うのです。でも、あの表情を間近で見られたことは良い経験になったはず。まぁ、活かすかどうかは本人次第ですが・・・(・ω・)

他方、『秘密の花園』。こちらもとても楽しく観劇しました。これも以前、頂いた中にあった脚本の中にあったので読んだことがありましたが、こうやって舞台として立ち上がるんだなぁと、とても勉強に。ただ、以前の上演を知らない観客としては、こちらの方が小劇場向けには仕上がってなかったような気が少ししました。

中村先生はアフタートークなどでも『脚本提供はしたけど、部外者』というスタンスを強調されていましたが、演劇を続けている卒業生がこういう形で自分の作品を上演してくれるのは嬉しいんじゃないかなぁと思ってみたり。もちろん、プロになった卒業生が選択できるレベルの脚本という前提があるわけですが、とても素晴らしく、どことなくアットホームな公演でした。

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