(この記事はいずれ2015年7月24日 @ 23:30に移動します)
今日はお休みを頂いて、宝塚歌劇団月組公演『1789』の2度目の観劇のために東京宝塚劇場にお出かけ。しかし、ちょっとハプニング。前日になって、一緒に観に行く予定だった人が体調不良で行けなくなりまして、チケットを無駄にすまいと、あれこれ当たってみて、前日の23時ぐらいにやっと一緒に行ける人が見つかるという、なかなか冷や汗ものの展開でした(>_<。)
さて、2度目の『1789』。2度目だし、フランス版を観たこともあって、内容はバッチリと理解した上での観劇でしたが、さらに作品としてのバランスの悪さが気になってしまいました。やはり、見れば見るほど王宮の必要以上の描写の必要性が分からなくなります。しかし、その必要性が分からない王宮の描写を愛希さんを中心とするキャラクターたちが見事に意味合いを与えてしまうので、作品の印象が随分違うものになってしまったのだと思います。
2度目の観劇でもやはり王宮側の方が中心に展開しているようなに感じられました。マリー・アントワネットを演じる愛希さんの安定感は更に増し、『王妃』という看板に負けない風格が感じられました。豪奢な衣装から次第に質素な衣装にと変化していくわけですが、その移り変わりとともに国王と添い遂げる覚悟を組めていく様子がきちんと見て取れました。また、ルイ16世を演じる美城れんさんも国民思いの国王をしっかりと演じ上げていました。
つまりは『宝塚の王室フォーマット』から微塵もぶれない『ホントは愛されるべき王室の姿』が完全に出来上がっていたわけです。こうなるとこの王室への革命には感情移入しがたいものがあります。もちろん、美弥るりかさん演じるアルトワ伯や星条海斗さんが演じるペイロールが悪役として彩りを添えていますが、その方向性は揺るがないと思います。
もちろん、革命家チームは前回観劇した時よりも、歌も踊りもパワーアップし、さらに魅力的になっていました。個人的にはダントンを演じる沙央くらまさんの芝居が好き。女好きな軽いキャラクターをさらりと演じながら、革命へ向かう熱量も十分いう難しいバランスをサラッと演じ抜けるところが素晴らしい。ロベスピエールを演じる珠城りょうさんも2幕冒頭のシーンを中心に革命家の中心となる難役を手堅く仕上げています。
しかし、やはり革命家チームは役割が分散してしまっていて、一つ一つの役柄のインパクトが薄まってしまっていたのが残念でした。ソロ曲が寸断されてパートを分けてしまっているため、曲のニュアンスが微妙に変わってしまっていて、散漫な印象を免れない感じでした。
そして、このアンバランスな『1789』の中で最も得をしたのはフェルゼン伯爵を演じた暁千星さんだろうと思うわけです。フランス版では1幕で少し姿を見せるだけのフェルゼンも『宝塚の王室フォーマット』に従って、1幕ではトップ娘役に『許されぬ愛』を歌ってもらえ、一緒にも歌うし、王太子の葬儀の場面や2幕冒頭、そして2幕の終盤で国王一家を助けに現れるという大きな役に膨らんだ。その大役に見事に応え、『The Merry Widow』の時のソロとは見違えるような歌声に成長。今後がますます楽しみになりました。
全体としては、とても良いミュージカルで、見所も多いのに今ひとつバラバラな印象なのは何故だろう(@_@)