運命の言霊

今年は春休みから新入生が部活に参加できるように制度を整え、春休みの仮入部が色々な部活で行われています。仮入部を行っている部活はほとんどが運動部なのですが、行きがかり上(とりまとめ役なので)、ウチの部もそれに参加しています。

ということで、入学式前から新入生が部室にいるという不思議な状況。しかし、この時期から新入生がいると、やはり色々とさせてみたくなってきてしまう。とりあえず、来ている生徒を観察しながらできそうなことを考えています。

こうして、新1年、新2年、新3年と並んでみると、この時期の課題というのは毎年繰り返しという気がします。この時期は1年生はまずは基本的な技術を身につけなければならないし、2年生は目標を定めて覚悟を決めなければならないし、3年生は残された時間でどこまで何ができるのかを考えなければならない頃。

まぁ、きっと色々悩んでいるんだろうと思うけれど、攻め手は決して緩めてはならないというのはこの10年で学んだこと。悩むべきことがあるということは、伸びしろがあるということですから。

そんなことを考えていてふと思いだしたのが『運命の言霊』。宝塚の元月組トップスターの瀬奈じゅんさんのエッセイの中に出てくるお話のタイトルです。演劇って色々なアプローチがあるので何が正解ということはないと思うのだけど、とても共感できたエピソードがこれ。瀬奈さんが最初のディナーショーに臨んだ時のお話です。少し引用すると、

お稽古が始まって、毎日が真剣勝負だった。出来ない自分との葛藤……のつもりだった。
葛藤してるつもりだったけど、違った。私は実力がなく、思うように出来ない自分から逃げていた。
楽しもう、気楽にやろう…甘かった。そんな私の甘い部分を、振付の先生は見透かしていた。
お稽古が始まって一週間位経った頃、先生に聞かれた。
「あさこは何がやりたいの? どうなりたいの?」
答えられるわけがない…
出来ない自分から逃げて、がむしゃらに頑張る事もせず、ただ楽しんでいただけの私には。
よく、「自分が楽しんでなければ、人を楽しませる事は出来ない」とか言うけど、ちょっと違うと思う。
それも大切だけど、まずは苦しんで戦って生み出さなきゃ、人の心を動かす事は出来ないと思う。
次の日、私は先生の所に行って、大きな声でいいました。
「私はトップになりたいです! トップになります!!」
(瀬奈じゅん著『日々、ことだま。』阪急コミュニケーションズ 2009年 P.53-P.55)

とこんな内容です。この本はフォト・エッセイなので読み物の部分はとても短いのだけれど、とても良い事がたくさん書かれています。なかでも、この部分は『なるほどなぁ…』と感じた部分です。

もちろん、宣言すれば良いという話ではなく、それを口にする覚悟を持つ事が大切だということなのだと思います。それを口にすれば、周りからそう見られるようになるし、そのための努力を迫られる。怠れば『口だけかよ』との誹りを免れない。それでも、出来ない事に果敢に挑み、恥をかくことを厭わずに前進する事は、とても苦しいけれど、必要な事なのだと思います。

まぁ、なかなか難しいとは思いますが(・ω・)

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