一昨日、やっと思いついた卒業公演向けの設定を卒業する部員に話をして、無事OKがでました。これで一安心。やっと、キャラクター設定とプロット起こしに進んでいけることとなりました。
卒業公演のタイトルは『The Inheritors(ザ・インヘリターズ)』。直訳すると『後継者たち』となります。『後継者』という英単語を調べていたら、イギリスの作家ウィリアム・ゴールディングの作品に『The Inheritors』という作品がありまして、格好良いなと思い、これをタイトルに選びました。内容は全く関係ありませぬ、念のため。
『The Inheritors』の舞台はヨーロッパのとある離島。この四半世紀ほどの激しい観光施設の誘致合戦を勝ち抜き、この島をヨーロッパでも有数の観光地に成長させた功労者がそろそろ引退したいと思い始めたことが物語の始まり。その後継者選びを巡って、様々な思惑が入り交じって、思い込みと勘違いが繰り広げられていくストレート・コメディになる予定です。
次の作業はキャラクターの設定です。登場するキャラクターの数は今の部員の数なので制限があります。基本的に2役、3役と1人に複数の役はさせないので、今回は8キャスト+1ヴォイスキャストという編成になります。なので、この9キャラクターで一番良い配役を考えていきます。もちろん、物語を盛り上げるために最適な役割分担を考えながら決めていくわけですが、もう1つ重要なことがあります。それが難易度の設定。
今できると分かっているような役を当てても仕方が無い。それは上手にできて当たり前。だから『今は少し難しい役』を考えます。しかし、この『少し難しい』の見極めが難しく、難しすぎればできないし、簡単すぎると意味が無い。だから、直前の稽古の様子を見極めます。科白の練習をしているか、脚本について考えているか、見せ方を考えているかなど。よって、グイグイとハードルが上がっていく子もいれば、そうでない子もいる。
問題は本人がいつ『覚悟を決めるのか』です。
あるところまでは技術的に矯正できますが、さらに歩みを進めるかは本人次第。歩き出してくれれば、背中を押して加速させることはできるけれど、止まってる人間を無理矢理動かそうとすると、ろくなことにならないというのがこれまでの結論です。だからこそ、覚悟を決めて成長し始めてくれると『こういう役は似合うだろうか』とか『こういう役を観てみたい』とか考えていて飽きない。
そして、ウチはスターシステムを取る珍しい演劇部なので、一番覚悟が決まっている部員が当然主役となり、何作品か続けて主演していくことになります。続けて主役となるなんて幸せそうに聞こえるかもしれないけれど、当然、その反面では相応の責任も背負います。だからこそ、僕は主演者を信頼をして、希望する世界観を用意するために悩むわけです。大変だけれど、それが伝統となり受け継がれて、現在の主演者は5代目。その背中を見て、次は誰がそうなっていくのか、ならないのか。
兎にも角にも、来年の春までのラインナップが決まったので、当面はクリスマス公演の準備に集中。でも、年末年始に脚本を書くことになると思うので、クリスマス公演までの間に、また誰かが『覚悟を決める』と面白くなるのですが、どうなることやら。