『大鏡』青山ねりもの協会

7月22日の小屋入り、7月24日(木)〜27日(日)の日程で青山ねりもの協会第10回公演『大鏡』が上演されました。会場は高円寺の明石スタジオ。

今回は文字通り平安文学『大鏡』を舞台化した作品。『大鏡』は文徳天皇即位(850年)から後一条天皇の1025年に至るまで14代176年間の宮廷物語です。思い返せば、高校時代に古典でとうとう挫折し、赤い表紙の参考書を買ったのが『大鏡』でした。そういう意味で約20年ぶりの再会(^_^;)

上演時間は休憩時間10分を含めてちょうど3時間ほど。原作は古典ですが、象徴的に原作を引用している部分を除けば、物語は現代語で進みます………というか、かなり軽妙な会話で展開されています。今回は写真を撮りながら、ゲネプロ(ゲネラルプローベ・舞台稽古)を見ましたが、停滞する場面もなく、むしろ、『大鏡』の世界を3時間にまとめ上げたのは凄いなと、率直に感じました。

古典文学である『大鏡』へのアプローチですが、今回の作品では有名な『この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば』という句を詠んだ道長について、平安時代に最も権勢を誇った貴族の権力欲に駆られる姿ではなく、むしろ自分の運の良さに翻弄されていく形で得た権力に気持ちが追いついていかない姿で描かれています。

主宰の奈緒さんが原作を置いて書く時は、物語の世界観に奈緒さんの考えの方向性が加わって、物語のある側面が鮮明に浮かび上がります。もちろん、それはある1つの解釈であって、専門に研究している人からすると違う見方もあるかと思います。しかし、本当のところは誰にも分かりません。だとすると、その展開が腑に落ちるかが焦点となるのでしょうが、この道長の在り方は十分に納得のいくものでした。

僕の中で原作ものの良し悪しを見極める1つの基準が、『見終わった後に原作を読みたくなるかどうか』だと思ってます。青山ねりもの協会は圧倒的に原作ものが多いのですが、公演が終わるたびに原作を読むことになります。これは何処までが原作の範囲で、どこからが創作なのかを知りたくなるからなのですが、自分が良いなと思ったシーンが原作になかったり、物語の流れが原作よりも良く整理されていたりすると凄いなと思うわけです。そういう脚本が書けるようになりたいものです。

さて、今回の公演は10回目の記念公演ということもあり。いろいろと懐かしいメンバーも参加してくれていました。結成からまもなく10年を迎えようとしていますが、こういう状態が維持できているのも、奈緒さんと萌花さん、主宰2人の人柄なのかなと思います。

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