卒業公演の演目は先日書き終えたばかりの『Love & Chance!』。卒業公演用に脚本を書いたのは初めてのことでした。この時期に新作を掛けるのも、上演時間が100分というのも厳しいところですが、3年間の最後の公演となると中途半端な演目にしたくはない。でも、稽古時間は絶対的に足りない。そういう無理のある状況下で少しでも良いものをと藻掻くわけです。
そうして迎えた卒業公演。卒業式前日と卒業式当日の2回公演ですが延べ90名近いお客さんが来場して客席は満席状態。前日夜の1回目にも多くの人が来たというのは初めてだったかなと思います。この卒業公演を卒業式の日にするというのは結構、無理のあるスケジュールです。しかし、2年続くと本人達もそのつもりになっているので、なかなか変えるのも難しく、3年連続でこの日となりました。
さて、今年の卒業生たち。実は今のアプローチに変えてから、3年続けて指導した初めての卒業生です。何を変えたかを端的に表現するのは難しいのですが、『演目の完成を目指す』というところから『3年間で役者を育てる』に変えたとでも言いましょうか。まぁ、とにかく変えたのです。
変える前と変えた後で、どのくらいの変化があったかは分かりませんが、個人的には役者達が確実に人目を引くようになったと思います。特に今年の卒業生は五者五様の舞台姿でお客さんを引きつけられるようになり、今回の卒業公演でも舞台狭しと動き回る姿は頼もしくもあります。入学した頃の姿を思い返せば、彼女らは確実に成長したのです。
今のアプローチは高校演劇の標準的な形からはかなり逸れていることは自覚していますが、僕はこちらの形の方が演劇らしいアプローチだと思っています。なかなか理解はされませんが、あまり気にせず頑張っていこうと思います。