『眠らない男・ナポレオン』宝塚歌劇団星組

今日は今年初めて東京宝塚劇場へ。星組公演の『眠らない男・ナポレオン―愛と栄光の涯に―』を観に行きました。

『眠らない男・ナポレオン』の作・演出は小池修一郎さん。作曲はジェラール・プレスギュルヴィック、最近では宝塚で上演された『ロミオとジュリエット』の作曲家。今年100周年を迎える宝塚の本拠地初日に併せて製作された新作ミュージカル。

作品は1幕でナポレオンの幼年学校時代から皇帝即位直前まで、2幕は戴冠式からフォンテーヌブロー城に連行されるところまでが描かれます。物語はオーギュスト・マルモンがナポレオン2世にナポレオンのことを語る形で進められ、特にフランス革命の勃発からヴァンデミエールの反乱までは速いテンポで物語が進み、話の中心はナポレオンとジョセフィーヌの関係性を中心に進んでいきます。作品の印象は曲の雰囲気は『ロミオとジュリエット』っぽく、展開はウィーン・ミュージカルっぽく、兵士たちの群舞はベルばらっぽい感じ。

観ての感想としては、こういう作品を初演するのは大変だろうなぁと。歴史上の人物がたくさん登場する作品は状況を説明しなければならないし、流れるような物語展開を実現するために舞台機構をフル活用してのほとんどつなぎの時間なく進む舞台進行。何か1つトラブルがあったら一大事という中で役の個性を光らせて物語らなければならないというのは大変なことだと思います。強いて言えばラストの良いシーンで、クレーンの音が響いていたのが残念でした。

星組は柚希さんがトップになって5年が経とうとしているところですから、やっぱり安定感があります。柚希さんの演じるナポレオンは信念に従って突き進む姿とロシア遠征の敗北から崩れていく姿のコントラストが鮮やか。相手役の夢咲さんも幸せに向かっていくような宝塚らしいヒロインではないジョセフィーヌを熱演。史実ではジョセフィーヌは最期に「ボナパルト」、ナポレオンは最期に「ジョセフィーヌ」と言ったとされているが別れても尚、強くつながっていた2人の関係性を表現していたのは夢咲さんだったかなと感じました。

物語のストーリーテラーであるオーギュスト・マルモンを演じた英真さん。英真さんの語りはいつだって独特な説得力があります。そして、マルモンが語る歴史の中のマルモンを演じた紅さん。ナポレオンと付き合いの長い将校でありながら、皇帝に即位し戦線を拡大していくナポレオンとの心の距離を感じながら、最後にはナポレオンを裏切ることになるマルモンの気持ちの変化を丁寧に表現されていました。

でも、やっぱり一番目を引いたのは北翔さん。今回は老獪な外交官タレーランを演じていました。悪い政治家のように思われるタレーランですが、実際は一番民衆に忠実とも言える政治家。怪しげな魅力のある外交官を個性的に表現されていました。ただ、足の悪い設定の役だったので本編ではダンスシーンがなかったのが少し残念。フィナーレでダンス、パレードで歌が聴けたのがせめてもの幸いでしたが、もっとダンスも歌も観たかったというのが正直なところ。

少し久しぶりの宝塚でしたが、宝塚に限らず暇があったら劇場に足を運ばないとと思います。上手には表現できませんが、なにか表現しようとする人は客席に座って、観客の目線を自分で体験しないといけないのかなと思います。それを忘れると独り善がりな表現に陥るのではないかと。難しいことですが、頑張らねばと思います。

その後は有楽町ビルヂングの地下にある『竹むら』へ。今日は久しぶり・・・といっても3ヶ月ぶりぐらいだが・・・に会う友人と観に行ったので世間話をしつつ食事。人事異動の季節だけれど2人とも異動はなかったね、などなど。すっかり社会人だなとと思いつつ。

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