昨日と今日、日本青年館に月組公演『Bandito-義賊 サルヴァトーレ・ジュリアーノ-』を観に行ってきました。これが現在の日本青年館に行く最後の演目ということになりました。
物語は1943年、連合国による占領直後のシチリア。実在した山賊サルヴァトーレ・ジュリアーノを主人公にした物語だけれど、内容的にサルヴァトーレ・ジュリアーノをかなり美化した感じの物語。少しいいとこ取り過ぎるかなと思いますが、実在の人物のエピソードをベースにしたフィクションと考えれば良くまとまっている物語だと思います。
この公演は珠城りょうさんの主演公演。前作の『月雲の皇子』も評判が良かったけれど、今回の作品も良かった。シチリア島という、村社会というか、閉鎖的な社会の中でそれに反発しながら運命に翻弄されていく青年の役を丁寧に演じていました。新人公演を終えて、いよいよ本格的に月組の中心に駆け上がっていく勢いが感じられた公演だったように思います。
個人的には、2幕の冒頭で一樹千尋さん演じるランペドゥーザ公爵を送り届けた後のやり取りの短い相づちのような科白の言い回しや声のトーンで、大空さんの科白回しや声のトーンに似た印象を受けました。そのためか、特に後半の場面はとても良い感じに観ることができました。
2番手として出演していた宇月颯さん。このところ、明らかに役不足気味だった宇月さん。この役がすごく良い役かは別として、久しぶりに宇月さんが物語の真ん中付近にいるだけで幸せを感じました。2幕は活躍どころも多く、第4場の歌(タイトルは分からないが、「生きてるだけで」という歌詞の歌)の歌い出しが、この作品で最も印象深かった。
また、フィナーレでのダンスも観ていて爽快でした。特に娘役と順番に絡みながら、笑顔を見せる宇月さんを観つつ、こういうのを本公演で観たいと切に思いました。以前は霧矢さんの後ろで踊る姿が頻繁に見られましたが、最近は………ねぇ(・ω・)
霧矢さんといえば、芝居の中で宇月さんがゆっくりと表れる場面の歩き方はまるで霧矢さんの歩き方のようでした。ある種、独特な歩き方なのだけれど、堂々とした雰囲気のある男役の歩き方。ちょっと前までは月組の男役はとても格好良かったんだよなぁ………と思ってみたり。
………と考えると、この公演は少し以前の月組のテイストに溢れていたから、個人的にとても楽しめたのかもしれないと思いました。もしくは最近はまた組替えが積極的に行われているので、ことさら組の色ということを言うつもりもないのだけれど、受け継がれているものが垣間見えると嬉しいのかもしれません。
そんな風に勝手に納得した最後の青年館でした(-ω-)