『THE MERRY WIDOW』宝塚歌劇団専科・月組

今日はお仕事をかなり早めに切り上げて日本青年館へ。今日が宝塚歌劇団専科・月組公演の『THE MERRY WIDOW』の東京初日。主演は専科の北翔海莉さん。

『THE MERRY WIDOW』はオーストリア=ハンガリー帝国生まれの作曲家フランツ・レハールによるオペレッタ。それをミュージカル化したのが本作品。ウィーンでは年末恒例のオペレッタらしいけれど、時代に翻弄されたいわく付きのオペレッタでもあります。こんな楽しいオペレッタが好きな人が第二次世界大戦の中心人物だというのだから人の嗜好というのは分からないものです。

さて、オペレッタが原作ということもあって楽曲が多く、それに伴ってとてもダンサブルな舞台。どちらかというと先日観に行った月組の全国ツアーに上級生の多くが回っている状況で、下級生が中心の公演でしたが、全くそんなことを感じさせない力強さがありました。

北翔さんのダニロ・ダニロヴィッチ伯爵は想像に違わず、とても上品に軽やかにヨーロッパの上品なコメディーをサラリと演じ、歌も踊りも宝塚随一の実力を発揮して、どの場面も見所と言えるような完成度を誇っていました。

相手役の咲妃みゆさんは昨年の『春の雪』でもヒロインを務め、最近の新人公演でもヒロインを演じている月組期待の若手娘役(といっても、娘役トップの愛希れいかさんとは1学年しか違わないのですが)。去年の『春の雪』もそうでしたが、わりと落ち着いた雰囲気の役の似合う古風(?)な娘役さんで、今回の『陽気な未亡人』という役もよく似合っていました。

他にも、吟遊詩人のカミーユ・ド・ロション役の凪七瑠海さんはいつも通りの安定感、ミルコ・ツェータ男爵役の星条海斗さんのコミカルさは目下、宝塚随一ではないだろうかと思わせる完成度、今公演で最下級生ながら圧倒的な存在感で見せきったニエグシュ役の暁千星さんなど注目すべき点はキラ星のごとく。とにかく一人一人の存在感がしっかりとある公演でした。

そして、何よりもこの舞台の見所は2幕のカンカンの場面です。北翔さんが素晴らしいのは何年も前から分かりきっていることですが、その人が真ん中に立つと、どれほど周囲に影響を与えるかということを鮮明に印象づける場面でした。

オブラートに包まず率直に言うと『月組、踊れるんじゃん(^^;』という感じ。

北翔さんを中心に出演者が連帯感を持って、場面を完成させていこうという気迫溢れる場面。自然と客席から手拍子も厚くなり、会場中を巻き込んでの一体感の生まれます。客席に降りて煽ったり、安易な笑いを取りに走らずとも、きちんと物語を積み重ねて表現していけばこうした雰囲気を作ることが出来るんだというお手本のような場面でした。

つくづく北翔さんは真ん中に立つべき人だと感じる公演でした。

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