今日は日生劇場で『マイ・フェア・レディ』のソワレ公演を観劇しました。イライザは霧矢大夢さん。霧矢さんのお芝居を観るのは宝塚の退団公演ぶりなので、かなり久しぶり。今回の翻訳・訳詞・演出はG2さん。後藤ひろひとさんや松尾貴史さんとの公演は何度となく見に行った大好きな演出家さんであります。
日生劇場は生まれてはじめていた劇場なのでとても思い出深く、行くたびに幸せな気分になる劇場です。しかも、演目は大好きな『マイ・フェア・レディ』と来れば、客席に着いた時から顔はにやけていたに違いない。
日本で初めて日本語で上演されたブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』。ブロードウェイの初演は1956年、日本初演は1963年で江利チエミさんと高島忠夫さんが主演。オードリー・ヘプバーンの主演で知られる映画は1964年。僕が初めて観たのは1997年の大地真央さんと草刈正雄さんが主演だった時。
ストーリーは言語学者のヒギンズ教授がロンドンの下町生まれのイライザを貴婦人へと変身させていくという、あまりにも有名な物語。一幕の軽やかな展開と二幕の切ない展開のコントラストが鮮やかで、音楽もいちいち気の利いている素晴らしい作品です。
霧矢さんのイライザは想像した通り素晴らしかった。下町のやんちゃな娘は勿論、貴婦人へと向かって行く過程もとてもチャーミング。中でも『I could have danced all night』の喜びに溢れる表情が素晴らしかった。松尾さんのお父さんも出だしはいつも通りの松尾さんらしさが発揮されつつ、『Give me to the Church on Time』は特に素晴らしく心弾む楽しさが溢れていた。寺脇康文さんのヒギンズは全編にわたってサービス精神旺盛なのだが個人的には何よりもラストシーンだ。アンバーの光の中で佇む姿は果てしなく格好良かった。
そして、今回はG2さんの翻訳がやはり素晴らしかった。原作が英語の場合、韻を踏んだ表現を日本語に訳したりするのが難しいのだが、『The rain in Spain stays mainly in the plain!』の翻訳は素晴らしかった。これは『エイ』という母音を修得する為の練習なのだが、『スペインの雨は主に広野に降る』と日本語に直訳しても何が難しいのか分からない。『レイン』『スペイン』『ステイズ』『メインリー』『プレイン』と『エイ』が5つ続くことに意味があるのだが、これを『日は東、日向のひなげし、品のある広い額』と言語を気にせず言葉を当てたのは勇気ある素晴らしい決断だったと思う。言葉の意味は違うが、表現の意味はズバリである。このシーンの意味が強烈に浮かび上がっていた。
とても、とても幸せな時間でした(@@)
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