東京大学教育学部附属中等教育学校・銀杏祭へ

数日前、natsuさんからメールを頂いて、東京大学教育学部附属中等教育学校の銀杏祭に行こうとお誘い頂きました。natsuさんとyassallさんは昨年も訪れていて、その時のことを聞いていたので面白そうと思い、また試験前で部活もないのでご一緒することに。

新宿駅で待ち合わせをしてバスで20分弱で到着し、受付を済まして、演劇部の発表会場へ。開場時間よりも早く着いたのですが、顧問のK先生が出迎えてくださいました。K先生は僕が顧問になる以前に地区にいらっしゃった先生で、何度がお目にかかっています。でも、K先生の演劇部の芝居を観るのは初めてでした。

開場時間となり、会場に入ると広い部屋に舞台と客席が作られています。舞台は後方に6×9の黒パネルが立ち並び、その前にカラフルなボックスがいくつか。照明はフットライトと照明スタンドにT1が上下に2灯ずつ。操作卓は上手に配置されていました。

本日の演目は『てあそびうた』、生徒創作だそうな。幕開きはタイトル通り、手遊び歌から。そこから場面が変わり、通学風景から教室の情景へと流れるように進んでいく。テンポを維持したまま場面が展開されている演出は見事な流れだと感じました。

物語は女子高生が周囲から期待される自分や他と違うことを恐れるが故に自分自身に嘘をつく自分と向き合おうとする内容で、生徒創作ならではのユニークなアプローチで書かれている脚本でした。物語の構造として同じ場面を登場人物ごとの視点で繰り返して展開するなど、とても入り組んだ手法をとっていました。その場面の当事者から見えている範囲、聞こえている範囲ががとても考えられていて、単純な繰り返しでない複雑さがありました。これがとても効果的に効いていて聞いていて、natsuさんも褒めていた先生の造形はこの構造の中で最も最適化された形かなとも思いました。

生徒創作の脚本は多くの場合、発想はユニークな物が多いのだけれど、脚本としてまとまりきらなかったり、やたらと暗転でシーンをつないでしまったりすることが多くなりがちな面があります。しかし、この作品は展開もシーンの繋がりも無理が無く、とてもよくまとまった作品でした。あとは実際に上演する会場に併せて、場面の切り替えがハッキリとする演出が加われば、よりよくなるのだろうなと思います。

惜しむらくは後半で中心の3人が完全に凹んだところで、『あ』『い』『う』(…だったと思う)がそれぞれの相方に話しかけるシーンがカラッとしすぎていたので、あれだけ落ち込んでいる人へ話しかけることを考えると優しい入り方ができると後半の場面の印象はずいぶんと変わるかなと思いましたが、これは好みの問題なので、なんともですが。

上演が終わったあと、講評会の様相を呈します。昨年もそうだったようなのですが、natsuさんとyassallさんは審査にも行ってらっしゃるし、地区でもコピスでも的確な指摘をされているのでいつものようにお話をされますが、僕はとても感覚的な人間なので『面白かった』ぐらいしか感想が見つからない。それでも、そうも言ってられないので気づいたことをいくつかお話をして、講評会は終了。果たして少しは役に立つことが言えたのかは謎ですが(^^;;

その後、新宿へと戻り、お蕎麦屋さんで一休み・・・というか、こちらの方が時間的には長かったような気がしますが、あれこれとお話。natsuさんとyassallさんと知り合って、かれこれ10年が経過しようとしていますが、つくづく面白いご縁だなぁと思います。

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