『幸福の黄色いハンカチ』高倉健

昨日、日本テレビで高倉健さんの追悼番組として『幸福の黄色いハンカチ』が放送されました。この映画は大学の時の映像作品研究の授業で断片的に観ていたのですが、その後、見返すこともなく本日に至っていました。テスト前となり、家でゴロゴロしていたので昼過ぎから録画したのを観ることに。

『幸福の黄色いハンカチ』は1977年、松竹の映画。山田洋次監督作品で、第1回日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞・最優秀助演男優賞・最優秀助演女優賞など多くの賞を受賞した作品です。

恐らくは監督の作風の違いだと思うけれど、観ていて安心できるというか、良くできたエンタテインメント作品であると感じました。前半ほど良く笑いを取っておきながら、後半にたたみ掛けていく展開は劇的であり、ハッピーエンドのストーリーは後味も良い。

しかし、とても面白かったのだけれど、書きたいことがパッと思い浮かばない(^^;;

とても良くできたロードムービーであるし、ドラマティックな展開でドキドキするし、ラストで黄色いハンカチがたなびくシーンでは涙もこぼれた。エンタテインメントとして理想的なほど後に残らない映画なのだと思う。もちろん、良い意味で。

強いて挙げれば、有名なシーンだけれど、主人公・勇作が出所後、最初のビールを飲み、ラーメンをすするシーンは確かに美味しそうだ。健さんがこのシーンのために食事を抜いていたというのは有名な話ですが、映画に登場した食べ物を食べたくなる、典型的な例だと思います。

映画としては、ラストシーンのあざとさ(もちろん良い意味で)が印象的。別れた妻(倍賞千恵子)の住む家の近くに着いたシーン。欽也(武田鉄矢)と朱美(桃井かおり)がクルマを降りて、周囲を見渡して黄色いハンカチを捜す。見当たらない。欽也のアップ、欽也がクルマの中の勇作に話しかけようと振り向くとその後ろに一瞬、映り込む黄色いハンカチ。

注意深いお客さんなら『今、映ってたよね』と登場人物の誰よりも先に気づくことになる。そうなると『早く気づけ、早く気づけ』という別のワクワク感が加わる。スラップスティック系のコメディでよく使われる手法。日本でならばドリフの『志村うしろ!』と子供が叫ぶようなワクワク感である。もちろん、短いカットだから初見の人がどのくらい気づくかは分からないし、その直後に欽也が気づくことになるのでほんの僅かなアクセントなのだけれど、喜劇としてのこだわりが見えた気がしました。

文句なく良い映画だし、健さんの演技も素晴らしいのだけれど、『高倉健』の映画としては『駅STATION』の方が『らしさ』が感じられるような気がしました。まぁ、まだ観ている本数が少ないので、何とも言えませんが(^^;;

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