『Lonely My Sweet Rose』が初演を迎えました。今まで一番短い脚本でしたが上演時間は69分となってしまいました。しかし、内容的にはかなり絞っているので「まだ、長いのか」というのが正直なところ。
叙情的な作品を上演する時に気をつけなければならないことは、重いエピソードに全体が引っ張られないようにすることだと思っています。軽いエピソードと重いエピソードが繰り返されながら物語が進行していくのが理想的だと。
しかし、これがなかなか難しく、物語を薦めていくと作品の主題に引きずられて、演技がどんどん重くなる傾向があります。時には主題とはまったく関係の無い役まで必要ない重い芝居を見せることがあります。
これは好みもありますが、叙情的な作品のラストシーンの直前のシーンには明るめシーンを置くことが多くあります。観ている人の気持ちを解してから、結末を提示するというのは、ある意味では王道的な手法です。
例えば、『ジーザス・クライスト=スーパースター』の『スーパースター』、『レ・ミゼラブル』の『宴会乞食』、『ミス・サイゴン』の『アメリカン・ドリーム』などは典型的な例かなと思いますが、これらの作品に共通するのは最後に主演格の人間の死が待っている場合です。
今回の芝居は現在と回想を行き来するのですが、回想の場面が重かったりすると現在の場面が引き続き重めになってしまう傾向がありました。ミュージカルのように華やかに重さを吹き飛ばすようなことはできませんが、ラストシーン前に配置したシーンがそれまでのシーンの重さに押しつぶされて、暗めになってしまったのは拙い。次の上演に向けてはその辺りを何とかせねばと思っています。
さて、69分だったため、9分カットしなければなりません。切らなければならない9分のうち、1分は緞帳が無い場所での公演だったため、暗転・板付きにかかった時間なので、これは必然的に無くなります。残りの8分のうち1分ぐらいは練習不足によるシーンのつながりの悪さ、もう1分は明るい場面が異様に重くなってしまった分だろうと。
・・・ということで、残りの6分はカットする必要がありそうです。過去最少テキスト量の作品をさらにカットするということで、切れるのかなと心配ですが、なんとかせねば・・・