『JIN/Fantastic Energy!』宝塚歌劇団月組

宝塚歌劇団月組の全国ツアー公演『JIN/Fantastic Energy!』がさいたま市文化センターで上演されるということで、18時の部を観に行ってきました。普段、あまり全国ツアーは観に行かないのですが、2010年の宙組『銀ちゃんの恋』以来、久しぶりに観に行ってきました。

『JIN』はテレビドラマにもなった村上もとか氏の漫画が原作の舞台。昨年末、雪組トップスター・音月桂の退団公演として大劇場で上演された作品です。他組の作品ですが思いの外、違和感なく観られたのは初演とトップスターのタイプが似ていること、ベテランの二人が変わらなかったことが大きかったのかなと思います。

個人的には坂本龍馬の沙央さんと医師・佐分利の宇月さんの登場シーンが好きでした。方言って難しいと思うのですが、それをサラリとこなし、これからの運命とは裏腹な龍馬の晴れやかな姿が印象的でした。なんとなく、科白が始まった瞬間にガラリと場の雰囲気が変わった気がしました。

また、龍馬が第8場で上手前で下手前方を眺めたシーンでは何かが見えているかのような眼差しでした(実際、前の席の人は思わず視線の方向を振り向いていた!)。やっぱり、沙央さんのお芝居が好きみたいです。

『Fantastic Energy!』は8月~10月に東京宝塚劇場で上演していた演目。大劇場での公演は月組フル・メンバーで、全国ツアーは別公演班と分かれるので、どうしても完成度は劣ります。しかし、一方で全国ツアーの場合、若手に大きな場面が回るので今まで気づかなかったところに気づいたりします。

ショーは愛希れいかさんが印象的でした。娘役のトップさんですから印象に残って当たり前なのですが、劇場で観た時も今回もダンスが凄さを感じました。元々、男役さんだからということもあるのだと思いますが、男役と並んで同じ振りを踊るシーンでも負けない強さがあります。かといって、男役っぽい訳ではなく、娘役らしくしなやかさがありました。

そして、やっぱり沙央さん。大劇場公演では北翔さんが中心だったシーンを担当されていましたが、激しい場面をしっかりと再現されていました。さすが、沙央さん。一方、宇月さんの役不足はいつまで続くのか。もっと芝居も観たいし、歌も聴きたいし、踊りも観たい。もったいない。

さて、それにしても、雪組初演時の『JIN』にも、直近の月組のショーである『Fantastic Energy!』にも北翔海莉さんが特別出演していたので、観ていると、どうしても北翔さんの姿がよぎります。この作品を初めて観たならばきっと感じない違和感を感じてしまうのは北翔さんの偉大さかなと思われました。

次の宝塚観劇はその北翔さん主演の『THE MERRY WIDOW』です。

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