この土曜日、中間考査が終わってから、コピスみよしでの発表会が終わるまでは休みを入れられなかったことと、模試などでお休みする部員の組み合わせが悪く、練習できる場面が3場面しか無いことを考慮して、たまにはリフレッシュのためと稽古はお休みにしました。
そこで思い立ったのが甲府南高校の緑陽祭にお出かけすること。Twitterで流れていた会議室を改造した劇場空間を実際に観てみたかったのと、1月に観た時に感じた感覚が間違いでは無かったかの検証のため。本当は金曜日に代休を取って観に行こうかなと思っていたのですが、色々あって一度は断念。でも、土曜日が休みならと言うことで急遽、行くことに決めました。
朝8時すぎ。JR新小平駅から武蔵野線で西国分寺へ。西国分寺駅の中にある「はなまるうどん」で朝食。何にしようかと考えていたところに事務局長先生からメール。甲府南に行くならということで先日、僕が全国大会関係でやらかした一件について関東総会の際に中村先生が援護してくださったことのことを知らせてくれました。こうした先輩がいてくださることはありがたいことです。
・・・ということで、西国分寺駅からJR中央線で立川駅へ移動し、9時28分発の『特急あずさ9号』松本行きに乗車、10時37分に甲府駅に到着。時間的距離は大宮−仙台間と同じくらい。
甲府駅では身延線に乗り換え。ここから先はIC乗車券は使えないらしい。先日は秩父鉄道で失敗したけれど、今日は甲斐住吉駅までの乗車券を購入しているので問題なし。
10時54分発の身延線富士行きで甲府駅を出発し、11時8分に甲斐住吉駅に到着。ワンマン運転のため、先頭車両の一番前の扉からだけの下車できるシステムで、駅は無人駅。南下していくと大きな街道を渡った先にマクドナルドが見えてきて、甲府南高校の入口の看板が見える。そこで曲がると正面に学校の校舎が見える。進んでいくと文化祭チックなアーチが、やっとついたと思って、右側を見るとTwitterで観ていた演劇部のポスターが。良く見てみるとここが会場らしい。駅からちょうど徒歩15分ぐらいでした。
11時23分、フロンティアホールという建物に入っていくと部員さんが受付をされていた。時間的には丁度、1公演目の上演中だったので、ロビーで整理券の配布時間まで待たせてもらうことにしました。待つこと40分弱、整理券の配布時間となり、整理券をゲット。
12時15分になり、入場開始。入り口前に中村先生がいらっしゃったので、人見知り全開で『来てしまいました』とお辞儀をして会場内へ。整理券番号1なので、真ん中の観やすそうな席に陣取りました。
Twitterの画像で観ていたシアター南天の舞台を凝視。舞台側はぐるりと照明のトラスに取り囲まれ、LEDの灯体が舞台を取り囲むように8台ぐらい、パーライトが幾つか、LEDのムービングライトが2台もある! さらに、スモークマシンの後ろ姿も見える。調光卓は手前がDMX、奥はムービングライトのコントローラーかな、音響はサンプラーが2台、機種もウチにあるのと同じく新旧1台ずつかな。音は上から振ってきてるから、照明のブリッジの上に仕込んであるみたい。舞台空間としてとても研究されている感じがヒシヒシと伝わってきます。
さて、色々楽しく観ていると、前説が始まって12時30分公演『世界の謎ともうひとつ』(作・中村勉)が開演。物語の舞台は高校のクイズ研究会。10年連続で全国大会に出場していたクイズ研究会が県大会の決勝に臨む場面から始まります。まず、『クイズ研究会』という設定に強烈に心惹かれました。大好きこの設定(*^-^*)
5人の役者さんがそれぞれメインの役を演じながら、場面ごとに色々な役を演じているのですが、その切替が軽快で物語を停滞させることがありません。そして、何より役者さんはとにかく表情が豊かで魅力的。オープニングでクイズに答えられなかったレイカが落ち込んで歩いているように振る舞っているところから始まり、ノブのお母さんたちとの会話もそうだし、リスから始まる追いかけっこも、ライトに向かう自転車から空を飛ぶ件に至るまで、豊かな表情で寸分の油断もなく丁寧に演じられています。
また、芝居が始まって明かりが付くと、高校演劇サミットの時よりも灯体の数が少ないので、それぞれの役割がとても良くわかりました。これを真似したくなる気持ちも分かるし、失敗する原因も分かる気がします。また、LEDの灯体の特徴も初めて身近に感じることができて、これは導入するべき装置だなと認識を新たにしました。
・・・などと書くとそれらしいですが、一方で説明すればするほど魅力が伝わらないような気がします。とにかく幕開きから幕切れまで楽しい作品で、1時間がホントにあっという間。時間を気にすることもなかったし、お芝居に違和感を感じることもなかったし、唯々楽しかった。
なにより、あの脚本のレベルに付いていくのは大変だろうに、役者さんたちは実に見事にそれをやってのけている。しかも、面白いものを面白くように、切ないものを切ないように見せようとするのではなく、本が与えているシチュエーションに忠実だからこそ表現できている面白さなのではないかと。それは見事な協力関係が表出したものなのかなと思いますし、この協力関係が『高校演劇』ならではのものいうなら納得できるような気がします。
とにかく面白かった(。・ω・。)
あっという間に上演が終わってしまい一端、ロビーに戻ります。程なく、14時公演の整理券の配布時間に。整理券を受け取ってしばらく待機。
演目が変わるということで開場は少し押したみたいですが、程なく入場。先ほどと同じ席に座ります。開場中でお忙しいとは思い、ちょっとどうしようかと迷いましたが、思い切って中村先生にご挨拶しに行くことに。少しだけお話をさせて頂きましたが、仙台にもお越しになり、芝居を観て頂けるようなので、いつかゆっくりとお話しできる機会があればいいなと思います。
会場に戻って程なく前説が始まり、14時公演『歩き続けてときどき止まる』(作・中村勉)が開演。合唱コンクールを題材に色々なコミュニケーションについて表現されている作品。でも、それだけではなく、それぞれに頑張っている高校生のふと力を抜けるような瞬間が垣間見えるような作品です。こちらの作品はどちらかというと好きなタイプの作品ではないのだけれど、1月に引き続き、普段いわゆる『高校演劇』に感じる抵抗感を不思議と全く感じないどころか、とても楽しめました。
たぶん、1月に高校演劇サミットで観たときも、今日の1本目を観たときにも思ったのだけれど、これは甲府南さんはとても科白がサラサラとしているからではないかなと思います。高校生が高校生を演じる時にありがちな努めて『高校生らしく振る舞う』ような妙な力みがなく、高校生の身体から発せられる普通の言葉を、科白として発することができているような。普通に話しているかように科白が言えるというのは、過剰に芝居芝居して話すよりも遥かに難しいだろうと思いますが、甲府南さんの演技はそういった感じがあるような気がします。
う〜ん、伝わっているだろうか。語彙力が・・・(‥;)
『呼吸をするように科白を繰り出す』・・・というのか、それとも『役が役者の身体を借りて科白を言っているかような表現』・・・というのか、もしくは『本当の意味で高校生であることを活かした表現』・・・というのか、まとめようとすると逆に良くわからなくなるけれど、高校生が高校生を演じることの難しさを変な外連味で誤魔化さず、かつ演劇的なコメディーのパターンを外さず、場面転換の手法を綺麗に組み込んでいて違和感がない。
つまり、役者が高校生というだけで、これは普通の『演劇』なのだと思う。
終演後は引退する3年生へのセレモニー的なことがあって終了。退場時にもう一度、ご挨拶して会場を後にしました。進学校っぽいので仕方ないのかもしれませんが、これほど手塩にかけて育てられた役者さんたちが3年の秋を迎えられたらどんなに素晴らしいことになるのかと残念に思いましたが、進路は大切ですから仕方ない。
帰り道、色々と考えます。埼玉県と山梨県は同じ関東でも北と南なので、なかなか同じ発表会になることはないと思いますが、本当はジッとっとリハサールとかを見学させてもらえたら勉強になるのだろうなぁと思いました。多くの場合、教えたがる人に習いたいことはなくて、本当に習いたい業を持っている方は教えようとはしません。だから、良く見て業を盗むしかないわけですが、そのためにはその業を頻繁に観なきゃならないし、本当に『もっと近くだったら良いのに・・・』という感じ。山梨県の皆さんが羨ましい(・д・)
中村先生の脚本も一度、甲府南のような科白回しをイメージして読んだら印象が変わるのかなと思ってみたり。読んでみようかなと思ったが・・・しまった、あの団体とのお付き合いはお断りしたんだった(‥;)・・・残念、入手ルートがない(+_+)
機会があったら、直接お願いしてみよう(>_<。)
なるほど、すてきな考察です。立派に巨匠研究していますね。科白の身体性については、こんどお会いしたときにお話ししましょう!
コメントありがとうございます。
なかなかお目にかかれる機会がありませんが、またお話しできる機会を楽しみにしています!