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第66回埼玉県高等学校演劇中央発表会 上演作品
『 Lonely My Sweet Rose 』
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』による
脚色/稲葉智己
2017年11月19日に第66回埼玉県高等学校演劇中央発表会にて上演した『 Lonely My Sweet Rose 』の上演映像です。
みやぎ総文が終わったあと、秋の演目として当初想定していたのは『真面目が肝心』でした。それが無理そうな無理そうな雲行きになって、2代目ドラントと2代目アルルキャンの組み合わせで上手くいく演目を考えた時に思い浮かんだのが『星の王子さま』でした。この時はラブチャでオルゴン伯を演じた男子部員もいたので、『王子さまと薔薇と飛行士が揃うじゃん!』となり、9月に差し掛かる頃に急遽、この演目に差し替えたのでした。個人的には2代目ドラントの当たり役、ドラントより王子さまではないかと思うのですが、それは皆さまに観て頂いて感想を頂ければと思います。
3年トリオが上手なのはある意味、自然なことなのですが、この作品に急遽切り替えられたのは、入部直後から全国版『Love & Chance!』でリゼットを演じた3代目アーネストの存在が大きかったと思います。この作品は物語の鍵を握るキツネが登場するのですが、この役が難役で普通なら1年生で演じるような役ではありません。それにきちんと取り組んでくれた3代目アーネスト。以降、全国版『Earnest!?』まで12回生のスーパーエースとして頼れる存在となって活躍していきますが、それはまた『Earnest!?』の時に触れます。
さて、『 Lonely My Sweet Rose 』の作品について。『星の王子さま』はタイトルは有名だけど、内容はあまり知られていなかったり、なんだか分かりづらかったりと言われる作品です。特に作者のサン=テグジュペリが航空機のパイロットであったこと、最後は第二次世界大戦時に自由フランス空軍のパイロットとして北アフリカ戦線で従軍中、戦闘機で出撃した後、行方不明となったことなどから、物語に登場する飛行士の存在が大きくクローズアップされ、飛行士と王子さまの関係を主軸に解説されたり、第二次世界大戦下の国際社会に対する痛烈な批判を読み解いたりすることもあり、ますます難解なイメージが付きまといます。
・・・が、僕はこの作品、どう読んでも王子さまと薔薇のラブ・ストーリーとしか思えません。異論反論ありましょうが、王子さまはヘビに噛まれることを選んでまで自分の惑星に帰ろうとする、薔薇の元に戻ろうとするわけですよ。飛行士との関係が重要だと思いたいのは分かるのですが、その飛行士よりも薔薇を選んでいるのです。飛行士にとって王子さまは大切な存在だけれど、王子さまからすればキツネや飛行士は大切だけど、それを圧倒的に上回って薔薇の存在が『かけがえのない存在』なのです。
飛行士にロマンを感じる人が多いのは分かるのですが、僕は圧倒的に王子さまに感情移入をする少数派なので、タイトルを『 Lonely My Sweet Rose 』として、王子さまと薔薇のラブ・ストーリーを中心に据えて、物語を描いています。『星の王子さま』の通常解釈が好きな方には違和感があると思いますが、『稲葉っぽい解釈だなぁ』と楽しんで頂ければ幸いです。(稲葉智己)