Love & Chance! (Niiza-Yanase 2017 Summit)

※パスワードの拡散、動画のダウンロードやWebページ等、各種媒体への無断転載は固くお断りいたします。

閲覧にはパスワードが必要になります。パスワードはFacebookの友達限定記事でご確認頂くか、メールまたはTwitterのDMにてお問い合わせください。ただし、使用実績の無いようなアカウントからのお問い合わせはお断りすることがありますので、予めご了承ください。

 

高校演劇サミット2017 上演作品
『 Love & Chance! 』
ピエール・ド・マリヴォー『Le Jeu de l’amour et du hasard』による
翻案/稲葉智己

2017年12月26日に高校演劇サミット2017(こまばアゴラ劇場)にて上演した『 Love & Chance! 』の公開ゲネプロの映像です。今回は高校演劇サミット・プロデューサーの林成彦さんのお許しを頂いて配信させて頂いています。

これも良く書いているのでご存じの方もいるかもしれません。高校演劇に疎い僕が『高校演劇サミット』の存在を知ったのは実は案外古く2011年、高校演劇サミットの第2回目の直後でした。『I Got Rhythm!』で関東大会に初出場した時、新潟の顧問研修会で審査員だった林先生が高校演劇サミットのことをとても楽しそうに話していたことを良く覚えています。

それから5年が経過し、2016年の高校演劇サミットで精華高校の『大阪、ミナミの高校生』と甲府南高校の『歩き続けてときどき止まる』を観劇する機会を得たのが、高校演劇サミットに参加しようと思い立った直接のきっかけでした。とにかく、この2校の上演が素晴らしかったのです(この話をすると「都立駒場は?」と良く聞かれるのですが、僕がチケットを手配したときに都立駒場は既に売り切れていたので観られなかったのです)

さて、高校演劇サミット2017についてです。

『Love & Chance!』はエントリーの時点で既に1年以上、上演し続けてきた演目でした。しかしながら、この1年間は上演の度に会場がどんどん広くなっていく一方でしたので、全国大会の会場であったイズミティ21の1450席からアゴラ劇場サイズのお芝居にするのが最初のハードルでした。

その作業を主にしてくださったのがサミット・ディレクターの田中圭介さんでした。田中先生が来る前にしておいたことは稽古場にアゴラ劇場の形でラインを敷いておくことぐらい。この辺が意外と思われる点なのですが、サミットの稽古の始まりから『Love & Chance!』の全国版演出を維持することは全く考えていなくて『田中先生にお任せ!』というスタンスでした。初回の稽古時に覚えていることは、小劇場版にするために動線の変更に伴う科白直しをリアルタイムに進めていったことと、ドラントがアルルキャンを取り押さえる場面の動きの付け直しをいつものようにやって見せていたらスタッフ陣にウケたことぐらいで、あとは田中先生の演出路線を理解しようとジトッと見学していました。

確か田中先生の最初の稽古日が月曜日で、中3日を挟んで、2回目が金曜日。初日の稽古があまり進まなかったので、この中3日の間に田中先生エミュレート・モードで稽古をバーッと進めて、その状態を田中先生に見て頂いたのですが、概ね演出方針に添えていたよう。この経験がそれ以降の部活の指導法に大きな影響を与えることになりますが、それはまた別の機会に。

そして、スタッフ陣が作品を楽しんでくれていたのも印象的でした。本当はサミットの大道具ルール通り、椅子2脚と赤パンチを敷くぐらいで上演しようと思っていたのですが、稽古場見学に来た黒太さんが大扉を気に入ってくださり、おそらく高校演劇サミット史上最大の大道具となった大扉を持って行くことになりました(しかし、案の定、アゴラ劇場の搬入口から搬入することができず、アゴラ劇場のロビーで一度分解して搬入することになりました(^_^;) 音響も秋田さんにマルっとお任せした結果、結局、全国版で使った音源は1つも使いませんでした。また、この時は稽古後半に1年生の壮絶なインフルエンザ・パニックが発生し、本番に照明・音響のオペが来られないという状況が発生。スタッフが参加できなかったのは残念でしたが、それ故にオペを黒太さんと秋田さんにお任せしたので、「昨日と違うかもしれないけど、気にせず続けてね」という指示が役者に飛びつつ、上演する度にプランが変わっていくという貴重な体験もすることができました。

今回の映像は公開ゲネプロ時にアゴラ劇場の3階バルコニーから撮影させて頂いたものです。あまり観る機会のない高校演劇サミットの資料映像としても面白いものかもと思い、ゲネプロの始める掛け声から収録してあります。本当はカーテンコールの後に公開フィードバックがあり、その映像も残っているのですが、田中先生に確認し忘れたので今回はカーテンコールまでとしました。それでも、当時から良く言われるようになった『上演とカーテンコールが別人』感は感じて頂けるのかなと思います。(稲葉智己)