『ガイズ&ドールズ』宝塚歌劇団星組(1)★

(この記事はいずれ2015年9月26日 @ 22:30に移動します)

8月日に初日を迎えた星組新トップスター・北翔海莉さんの大劇場お披露目公演『ガイズ&ドールズ』。

緞帳が上がると公演タイトルのサインが浮かび上がる。
緞帳が上がると公演タイトルのサインが浮かび上がる。

この作品はデイモン・ラニアンの短編『The Idyll of Miss Sarah Brown』『Blood Pressure』を原作したミュージカル。初演はブロードウェイで 1950年。作曲はフランク・レッサー、演出はジョージ・S・カウフマン。上演回数1200回、4年というロングランを記録した公演。1955年には映画化され、日本でも翌年『野郎どもと女たち』という題名で公開されている。主演はマーロン・ブランドとジーン・シモンズ、他にフランク・シナトラやヴィヴィアン・ブレインなどが出演していました。

さて、星組公演の話。頭から順に書いていくと長くなるので、せっかく3回観るし、キャストを中心に少しずつ分けて書いていこうと思います。

まずは主人公スカイ・マスターソンの北翔海莉さん。北翔さんは幕開きがいきなりクライマックス。後ろ姿でグレーのスーツをバチッと決めもソフト帽を被った北翔海莉さんが暗転の中、せり上がり。そして、トップ用のピンスポットに照らされて、『はじめての恋』のソロ。大劇場に響く歌声。歌が終わるとシーンが変わり、ブロードウェイの街並み。振り向いて、去って行く。この短いシーンに男役に必要なものがギュッと詰まっています。

今回は古典的なブロードウェイ・ミュージカルらしく、歌が少なめで芝居の部分が多いせいか、典型的なスーツものだからか、洗練された男役らしさが随所に感じられました。歩き方、座り方、腕の組み方、帽子のかぶり方など、細かい仕草がいちいち決まっている。

そういう洗練された姿を見せられた後で、1幕の最後に動揺する姿を見せられると、物語に立ちこめる暗雲が色濃く見せつけられるのだと思う。ハッピーエンドに向かうことは知っていても、こう揺さぶられるから何度も観られる。男前な主演のお仕事。

2幕の見せ場は何と言ってもクラップゲームの場面。白いスーツを着たスカイがギャンブラーたちを相手に大勝負を仕掛ける場面。ここで『運命よ、今夜は女神らしく』。この男役の群舞はやはり見応えがある。それだけではない。伸びやかな歌、キレのあるダンス、スッと高く上がる足。北翔さんに頑張ってこなしている様子がないからスッと見られるのだと思う。若々しく一生懸命な姿を見守るのも楽しみ方だけれど、努力の跡を見せずに舞台をこなす姿は、物語に引き込んでくれる力になるのではないかな。

そうこうしている間にフィナーレ。男役群舞はトップスターの歌から始まる。前回の月組の時は娘役の影コーラスでしたが、北翔さんの歌を聴かせたくなるのは良くわかる。そして、何故だろうか、この場面で帽子を目深に被って、鍔を指でなぞる仕草に大空祐飛さんの面影を感じてしまった。きっと、今まで北翔さんの前を駆け抜けていったトップスターの技術が息づいているのだと思う。

ヒロインのサラ・ブラウンを演じる妃海風さん。『歌、上手いなぁ・・・』と言うのが率直なところ。始まりの『フォロー・ザ・フォールド』からそれを感じます。凜として美しい救世軍の軍曹、役作りも素晴らしい。そして、キューバの場面では一転して娘役らしい可愛いらしさに溢れる。このギャップが素晴らしい。徐々に酔っ払いながら、陽気に踊り始め、ダンサーにヤキモチをして、引っぱたいてしまうという一連の流れを実に可憐に演じています。

そして何よりは『私がベルなら』だ。酔っ払った状態から歌が始まるのだけれど、これが素晴らしい。綺麗に歌を歌うことも難しいけれど、役の状態を背負ったまま歌うのは更に難しい。感情に引っぱられすぎると何を言っているのかが分からなくなる。その絶妙なラインをしっかりと踏まえて、可憐に歌い上げる。抜群の安定感。こういうシーンを観ると幸せ感に包まれます。

あっという間の2時間半という言葉が、これ以上相応しい芝居も珍しいのではないかと思う。そして、最後に大きな羽根を背負った北翔さん。やはり、トップになるべき人がトップとなると作品はしっかりと仕上がるのだとつくづく。この作品だったら、宝塚を初めて観る人もきっとその素晴らしさが分かると思う。

たぶん、この作品は宝塚でだけでなく東京でも沢山観るので、今日の感想はこのくらいにしておこう。


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