『マイ・フェア・レディ』松尾貴史・田山涼成(3)★

(この記事はいずれ2016年7月24日 @ 23:00に移動します)

『マイ・フェア・レディ』観劇3日目。このチケットが最初から取ってあったものです。

プログラムによると『リボーン版』と呼んでいるそうですが、新訳・新演出となった現行の『マイ・フェア・レディ』。演出を担当しているG2さんは実に様々な作品の演出をされています。僕の親しみ深いところでは、後藤ひろひとさん脚本を演出した『Midsummer Carol』や『ダブリン鐘つきカビ人間』、『天才脚本家』、『止まれない12人』、松尾貴史さんとの演劇ユニット『AGAPE store』で上演された、やはり後藤さんの脚本による『BIZシリーズ』など、とても面白い舞台を作り上げてきた演出家さんです。

元々、『マイ・フェア・レディ』は好きなミュージカルだったわけですが、G2さんが演出と聞いて楽しみになり、イライザの父であるアルフレッド・ドゥーリトルを松尾貴史さんが演じると聞き、期待は更に高まったわけです。

今回の再演でもアルフレッドは勿論、松尾さんが演じます。このキャスティングがこの公演の魅力を高めていることは間違いありません。アルフレッドという役柄は、娘の稼ぎにたかるダメな父親ですが、一方でヒギンズを相手にしても言い負けない頭の回転の良さが魅力。その両面を松尾さんは軽く飛び越え、実に人間味溢れ、芸達者なアルフレッドを見せてくれます。

特にアルフレッドの『運が良けりゃ(With A Little Bit Of Luck)』と『教会へは遅れずに(Get Me To The Church On Time)』の場面は観ていて、これほど楽しいかと思えるほど音楽と役者さんの魅力に溢れた場面になっています。特にイライザに自分の結婚式を見に来ないかと誘うものの断られた時のアルフレッドの表情はなんとも言えない哀愁があります。もし、歌舞伎の一幕見席のようなにミュージカルで楽曲毎に見られるシステムがあったら、この場面だけ連日観たいと思えるほど。

もう一人、田山涼成さんのピッカリング大佐が個人的には大好きです。今まで観たどのピッカリング大佐よりも僕が原作を読んだ時のイメージに近い感じがします。軍人でありながら言語学に興味を持つインテリ、一方でイライザに対しては勤めて紳士的に振る舞うキャラクターを丁寧に演じられています。ミュージカルに登場する主要キャラクターでありながら、ソロの曲はないという、どちらかと言えば芝居を支える役回りなのですが、この田山さんの佇まいと科白運びに心癒やされる人は多いのではないかと思います。惜しむらくは『日向のひなげし(The Rain in Spain)』の歌詞が変わってしまい、『品のある広い額』の活躍の場面が減ってしまったことぐらいかな。

最近はオペラ形式の大規模ミュージカルがもてはやされていますが、こういった古典的でありながら魅力の衰えない作品にも、もっと注目が集まって欲しいなと思います。


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