『風の次郎吉』宝塚歌劇団花組・専科

今日は昼前からお休みを頂いて、宝塚歌劇団花組公演の『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』を観に出かけました。

最寄り駅の千駄ケ谷駅で降りる正面に東京体育館。オリンピックが決まったことを知らせる横断幕がかけられています。今日の会場は日本青年館。長らく宝塚の東京特別公演の会場となって来ましたが、そのオリンピックによる国立競技場を含む再開発の対象地域となり、この春での閉鎖が決まっています。日本青年館が特段にミュージカル向きのホールかと言われれば大きく疑問ですが、色々な作品をこの会場で観てきたので、少し寂しさを感じます。

日本青年館。間もなく閉館。
日本青年館。間もなく閉館。

さて、今回の公演は大変なチケット難。先行予約で全敗し、途方に暮れていたのですが、悪運強く、去年シアター・オーブの星組公演をお誘いした知り合いが、花組公演でお返しをして下さいまして、無事、観に行くことができました。

しかも、上手側ながら最前列(≧∇≦) 視界を遮るものなく観られる(≧∇≦)

本公演の主演は専科の北翔海莉さん。先日、次期星組トップに就任することが発表されたばかり。芝居・歌・踊りと完全に三拍子揃った宝塚随一の実力派のスターさん。しかしながら、その真価は下級生を引っ張り上げるところにあります。特に最近はそれが顕著。前回の主演公演『THE MERRY WIDOW』の時も『今の月組がこんなに踊れるのか』と驚かされました。今回も舞台上の役者たちの実力が遺憾なく発揮され、下級生に至るまで隙のない素晴らしい舞台でした。

2番手格の瀬戸かずやさんの遠山金四郎、3番手格の柚香礼さんの勇人がビジュアルを固め、鳳真由さんが与力・石川一馬で果敢に悪役に挑み、専科・夏美ようさんが甚八で江戸の職人を手堅く演じ、天真みちるさんの三助が手堅く落とす。娘役もバランスが良いし、座組として隙のない感じでした。

しかし、個人的にはやはり紫峰七海さんが素晴らしく感じられました。オープニングは活動弁士として物語のイントロダクションを語り上げる訳ですが、この人の科白回しは実に見事。『オーシャンズ11』の幕開きで弁護士役で登場したときも驚きましたが、実に安定感のある芝居を展開してくれます。メインの悪徳商人・小松屋太兵衛は時代劇に登場するイメージ通りの悪徳商人を見事に造形しています。奉行所の与力も手のひらで転がすような大きさが感じられました。

やっぱりね、ビジュアル重視の若手を抜擢するのに否定的なわけじゃありませんが、物語を盛り上げるには実力派のベテランを大切にしないといけないと思います。

さて、今回の作・演出は齋藤吉正さん。毎回、とても楽しめる作品を作り上げてくる演出家さんで好きな演出家さんの1人なのですが、さすがに今回は暗転多すぎ。これは前にも書きましたが、宝塚の専用劇場とそれ以外では作品を書き分けた方が良いと思います。一昨年の月組の全国ツアーの『JIN』は大劇場の演目を全国ツアーに出したから仕方ないとは思いますが、今回は最初からシアター・ドラマシティと日本青年館と決まっていたのだから、ちょっと無謀なシーン数だと思います。

あと、これは好みもあると思いますが、甚八が亡くなるシーン。現在の次郎吉と幼少期の次郎吉が話をするという非現実のシーンとはいえ、次郎吉に『この後………』とナレーションを言わせるのは如何なものかと(^^; 甚八が亡くなったことを言葉で伝える必要があったのかということはちょっと置いておいても、次郎吉に言わせるならば、せめて録音処理をするなど舞台上の人に言わせない方が良かったんじゃないかと感じてしまいました。

しかし、それ以外は特に気になることはなく物語の展開も演出も素晴らしい。ストーリーは少しありがち感がありましたが、それを逆手にとって定番の科白を確実に押さえて笑いを取るのもお見事。休憩中の映写スライド、終演アナウンスなどお客さんを楽しませるための工夫は宝塚随一の演出家さんです。

さて、北翔さんの次の公演はビルボード・ライブを挟んで、トップお披露目公演。ネット上では賛否両論の演目ですが、北翔さんならばきっと見事なまでに成立させてしまうのだろうと思います。今から楽しみです。

休憩中はキャスト紹介が映写されてました。
休憩中はキャスト紹介が映写されてました。

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