『Ernest in Love』宝塚歌劇団花組

『Ernest in Love』は2005年に月組(瀬奈・霧矢)と花組・専科(樹里・蘭寿)で上演された演目。古き良きブロードウェイの作品なので1970年代後半以降の作品と比べると劇的さには書けますが、オスカー・ワイルド最後の作品であるストーリーとによる音楽は現代においても十分に楽しむことのできるミュージカルです。

会場は東京国際フォーラムのホールC。ここで見た作品で印象に残っているのは2007年の『テイクフライト』。ライト兄弟に興味を持つきっかけとなった作品。あれが7年ちょっと前のことかと思うと時の流れを感じます。今日は2階席の最前列。階が上がると見づらいのですが、前に人の頭があるよりはストレスは少ないので意外と好きな座席です。平日の公演ということもあってか、お客さんの出足は良くありませんでしたが開演前には当然満席。演目と明日海人気を考えれば当然か。

今回は花組娘役トップが交代した直後の公演ということで、初めて顔と名前が一致して見ました花乃まりあさん。僕の周辺では評判の芳しくない娘役さんでしたが、そういうこともあってか思ったより全然、良かったように感じられました。学年のわりには落ち着いているように感じられましたし、お芝居は上手でしたし、学年を考えれば、これからに期待が持てるような気がします。ただ、少し背が高いので、明日海さんとのバランスが悪いと感じる人もいるかなぁ………とも思いましたが、最近はそういうコンビも多いので個人的には気になりませんでした。

セシリーを演じたのは城妃美伶さん。2幕からの登場でしたが、最初の『悪いひと』から歌の上手さ全開。グウェンドレンとの『初めて見たときから』でも歌をリードしているような感じでした。恐らく、この公演でグウェンドレン・セシリーを組んだからには、これから花組で物語の中心にいる娘役さんとなるのでしょうから今後が楽しみ。ただし、歌はとても上手く感じたのだけれど、これが本当に上手かったのか、比較の問題で上手く感じたのかは謎。次の本公演で分かるのかなとも思いつつ。

今回、一番意外だったのが芹香斗亜さんのアルジャノン。前に見ているのが霧矢さんなので・・・と思っていたのですが、急成長なのか役柄が本人にあっていたのか、とても良かった。パジャマ姿で現れたところから『アルジャノン』という雰囲気が十分に伝わってきました。『バンバリー』も『こどものように』のリプライズもスッと聞くことができましたし、アルジャノンの軽い感じも十分。今までの本公演の印象より、かなり良かったと感じました。

執事レインを演じる高翔みずきさん。花組の組長さんで組の中では最上級生な訳ですが、ダンスが魅力的。初演時の花組版でも同じ役をされていましたが、10年を経た分の貫禄があるような気がしました。1幕・2幕とも冒頭に見せ場のある役ですが、組の下級生を率いて踊る場面はさすがでした。

そして、明日海りおさん。トップとなって3作品目。やっと『ベルばら』と『エリザベート』に比べると明日海さんの魅力が伝わりやすい演目だったように思うのだけれど、期待感が高すぎたのか、もったいない感じが随所に漂っていました。でも、最後の『こどものように』で一気に引き込む姿を見ると、実力とは全く別のものとして主演としての魅力が備わっているのだと感じます。とはいえ、実力も月組の後半から花組にかけての急成長から成長傾向が継続中。まだ、トップになったばかりですし、やっぱり今後、ますます楽しみなトップさんであることは疑いようがありません。

感想としては十分に楽しめたのだけれど、『エリザベート』と同様、3年後ぐらいの明日海さんで見たかったなと思ってしまいました。どうも最近はお披露目近辺で海外ミュージカルを上演することが多いのだけれど、少しもったいない気がします。


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