約束(中編)

今年度の始まりから関東大会までの振り返りの続き。

9月に入り、やっと部員が集まって稽古できる時間が増えてきて、『なんとか間に合うかな?』と思い始めた頃、事務室前を通りかかると呼び止められる

「岐阜県の長良高校の先生から稲葉先生宛てなんですけど」

ビックリして電話に出ると、地区発表会を観にいらっしゃるとのことで、一般来場のことなどについてのお問い合わせでした。かたや、既に岐阜をトップで抜けてる学校、かたやこれから地区ですから恐縮しきり。でも、お会いできるのはちょっと嬉しい。これは出来る限り、何とかお芝居を仕上げねばと気持ちを新たにする出来事でした。

9月23日。西部A地区発表会の上演日。1本目の上演中に長良高校の先生が本当にいらっしゃった! そこで色々とお話をさせて頂いたのだけれど、特に昨年、長良高校さんが上演された『ピグマリオン』について語り合う。このブログでも何度も書いていますが、バーナード・ショーは『ピグマリオン』の結末でイライザとヒギンズは決して結ばれないと断言しています。わざわざ、後日談まで書き足してそう断言をしています。しかし、『マイ・フェア・レディ』が有名になりすぎて、『ピグマリオン』であるのに「あの二人が結ばれないのはおかしい」的なことを言われたことへの憤りを伺い、とても共感。

楽しい(๑˃̵ᴗ˂̵)! 高校演劇を上演している会場のロビーで『ピグマリオン』の結末について話し合える日が来るなんて! かれこれ10年ぐらいこんな作品ばかり上演してきたけれど、初めての体験でした。

その後、ウチの上演をご覧頂きました。ウチは部員も足りないので、一幕に翻案しているのでどんな印象を持たれたか不安でしたが、感想を伺うと楽しんでいただけた様子で一安心。先生は笑顔で「これは大丈夫ですよ。県大会頑張ってください」と仰ってくださり、僕は恐縮しきり。そして、長良高校さんの県大会の様子を収録したDVDを頂き、僕は地区発表会の送らせて頂くことと12月の壮行公演に是非伺いたいとお伝えして、お別れしました。

翌週末、台風が迫る中、中央発表会に推薦されることが決まり、作品の大規模改変に着手。昔は中央発表会に出ることが決まった作品を大きく変えるなんて怖くて出来なかったけれど、坂戸の小父さん(筑波大坂戸の元顧問)に「上演が終わったら、時として作品を大胆に作り直した方が良い」と言われたことがずっと記憶に残っていて、少しでも違和感を感じたら改めるに如かずと考える。

まず、セットを大幅に見直し、部屋を囲うように立てていたパネルを止め、本棚も奥に引っ込め、中央のエリアを広くして、ミザンスを整える。次に地区の審査にいらしていた林先生のご指摘を受けて、脚本の前半部分を大きく書き換え、アーネストの服装を『紫の派手な燕尾服→パジャマ→フロックコート』と変化させて、ブラックネル卿夫人がアーネストを嫌がる理由の1つを可視化したり。音響なども見直しました。

そうして迎えた中央発表会。今年から事務局長と言うこともあり、大会期間中は会場にいるのがお仕事。本当なら学校に戻って稽古を観たいところですが、そういう訳にも行かないので、大会直前はほとんど稽古ができませんでした。そんな中でも、運営は事務局の皆さんのお力をお借りして、すぐ戻れる距離の公民館を借りたりして、稽古時間を確保。初日2本目に上演を無事終えることが出来ました。

中央発表会の2日目。上演がかなり進んだ頃にnatsuさんに「どうですか?」と聞いてみると「オレは良くわからないよ」と言いつつ、「大丈夫だと思うよ、栃木は縁起が良いから。所沢の時の、ね」と。この時の「栃木は縁起が良いから」というのが、その後、ずっと頭の片隅にありました。

全ての上演が終わる。審査は前事務局長閣下にお任せしていたので、結果が届くのを本部楽屋で待つ。程なくして、審査結果を受け取る。皆さんより30分ぐらい早く、優秀賞一席という結果を知りました。表彰式が待っているので、ホッとしている間はありませんでしたが、3ヶ月半遅れでやっと長良さんに追いついてブロック大会に進めることになったことが素直に嬉しい出来事でした。

(続く)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です